車輪の再発明とは
エンジニア界隈で耳にする言葉に「車輪の再発明」というワードがあります。
これは「既に存在している技術や解決策を再びゼロから作り直す」という意味で、多くの場合、非効率的な取り組みとして扱われます。
この記事では、車輪の再発明を避けるべき理由と、より生産的な開発手法について解説します。
車輪の再発明が非効率的な4つの理由
1. リソースの無駄遣い
既存のライブラリやフレームワークを利用すれば数時間で済む作業を、再発明することで数日、場合によっては数週間を浪費する可能性があります。
また、見落とされがちな点として、運用や保守に関わるコストも発生します。
- 人的コスト: 開発者の時間と労力が無駄になる。
- 金銭的コスト: 開発時間が延びればプロジェクト全体のコストも増大する。
2. クオリティのリスク
既存の技術は、多くの利用者に使われ、時間をかけて改良されています。
一方、再開発したものは「テスト不足」など、品質が保証されません。
- 既存技術の優位性: 長年の運用やコミュニティサポートによって安定性が確保されている。
- 再発明の弱点: バグやセキュリティリスクが潜む可能性がある。
3. 保守性の低下
独自の解決策を作ると、それを理解できるのはその開発者だけ、というPJをたまに見かけます。
その結果として将来的なメンテナンスやアップデートが困難になる可能性があります。
- 属人化の問題: 開発者が離職すると、そのシステムを誰も扱えなくなるリスクがある。
- ドキュメント不足: 独自実装は十分な資料がない場合が多い。(私が個人開発した自作システムはこのパターン、、、)
4. スケーラビリティの欠如
既存のライブラリやフレームワークは、多くのユースケースや拡張性を考慮して設計されています。
一方で再開発したものは、特定の用途にしか対応できない場合があります。
車輪の再発明をするべき場合
目的によっては車輪の再発明を選ぶ場面もあります。
1. 既存技術が要件を満たさない場合
目的とするものが世の中にないものは自作する必要があります。
ただし、特定のアルゴリズムやデザインパターンは、GitHubや技術ブログで多くの例が公開されています。
それらを活用することで、再発明を部分的に回避できます。
2. 予算が要件と合わない場合
導入コストが予算よりも掛かる場合、再発明が必要なことがあります。
そのためにも、事前の要件定義は明確にするべきです。
3. 自己学習をする場合
自己学習を目的とする場合には、プログラミング初心者がWebアプリをゼロから作ることで、データベース接続やフロントエンドの仕組みを深く理解できます。
また、「車輪の再発明 = 世の中に回答がある」なので自分が作ったものの良し悪しの答え合わせがしやすいことも挙げられます。
車輪の再発明を防ぐ実践例
例えば「○○○の資料作成」というタスクがあった際にゼロベースで作成するのではなく、「成果物の参考となる資料が無いのか」もしくは、「既存の△△△の資料で事足りるのではないか」などを手を動かす前に確認することで再発明を避け、効率的に作業ができます。
また、私はプライベートで自作システムを作っています。
自作システムを作る前には「目的を満たしているシステム」が世の中に無いのかを調べ、無ければ作るというプロセスを踏んでいます。
実際に自作システムを運営していると運用保守コストが大きいと感じる場面が往々にしてあります。
まとめ
オリジナルを作る前に「それ、本当に作る必要がある?」「他に流用できるものは存在しない?」と問いかけてみましょう。
それだけで業務効率の足掛かりになります。