SAP ABAPシステムにおけるプロファイルパラメータとは?
SAP ABAPシステムをスムーズに動かすために欠かせないのがプロファイルパラメータです。
プロファイルパラメータは、システムの動作やリソースの使い方を決める設定ファイルのこと。
例えば、「メモリをどれくらい使うか?」とか「同時に何人ログインできるか?」といったルールを決めています。
SAPシステムは、このプロファイルパラメータを読み込んで動作するので、適切に設定すればパフォーマンスの最適化や安定稼働につながります。
逆に、間違った設定をするとシステムが重くなったり、最悪の場合は動かなくなったりすることもあります。
だからこそ、しっかり理解して管理することが大切です!
プロファイルパラメータの基本概要
プロファイルパラメータは、SAPシステムの「定義ファイル」みたいなものです。システムのスタートアップ時に読み込まれて、その内容に従ってSAPが動きます。
パラメータは大きく分けて以下のような役割があります。
主なプロファイルパラメータの種類
- パフォーマンス管理系
- メモリ割り当てサイズ (
abap/heap_area_total
など) - ワークプロセス数(
rdisp/wp_no_dia
など)
- メモリ割り当てサイズ (
- セキュリティ管理系
- ログインの失敗回数制限 (
login/fails_to_session_end
など) - パスワードポリシー (
login/password_expiration_time
など)
- ログインの失敗回数制限 (
- リソース管理系
- データベース接続数の上限 (
dbs/db_max_connections
など) - セッション数の制限 (
rdisp/max_alt_modes
など)
- データベース接続数の上限 (
- システム設定系
- デフォルトの言語 (
zcsa/system_language
) - タイムゾーン (
zcsa/time_zone
)
- デフォルトの言語 (
要するに、システムが快適に動くように「ここの設定をこうしておこう!」と決めるのがプロファイルパラメータの役割です。
インスタンスプロファイルとスタートプロファイルの違い
SAPのプロファイルパラメータには、大きくインスタンスプロファイル、スタートプロファイル、そしてデフォルトプロファイルの3種類があります。
それぞれの役割を理解しておくことで、SAPシステムの設定や調整がスムーズに行えます。
1. インスタンスプロファイル
SAPシステムの各インスタンス(アプリケーションサーバ)の動作を管理するための設定ファイルです。
システムのパフォーマンスやリソース管理に関する重要なパラメータが含まれています。
- 変更後にSAPインスタンスを再起動しないと反映されない。
- 各インスタンスごとに個別のプロファイルが存在する。
2. スタートプロファイル
SAPインスタンスの起動時に読み込まれる設定ファイルです。
起動時にどのプログラムを立ち上げるか、環境変数をどのように設定するかが定義されています。
- 変更後の影響は設定内容によるが、基本的にSAPインスタンスを再起動する必要がある。
- インスタンスを起動するための最初のプロファイル。
3. デフォルトプロファイル
SAPシステム全体に適用される共通の設定を定義するプロファイルです。
すべてのインスタンスに適用されるグローバルな設定が記載されています。
- 変更後にSAPインスタンスを再起動しないと反映されない。
- 全てのインスタンスに適用される。
3つのプロファイルのまとめ
プロファイルの種類 | 役割 | 変更後の影響 |
---|---|---|
インスタンスプロファイル | 各SAPインスタンスの動作設定 | SAPの再起動が必要 |
スタートプロファイル | 起動時のプログラム設定 | 変更内容によるが再起動推奨 |
デフォルトプロファイル | システム全体に適用される共通設定 | すべてのインスタンスに影響 |